日本国内での銀投資の環境(2022.5.23)

貴金属

今、日本国内でもインフレヘッジ対策として、貴金属投資、とくに金投資が注目を集めているのは、多くの方々もご存じでしょう。

金の取引市場は、日本では非常に整備されていて、比較的容易に、金貨や純金のバーを貴金属店などで購入することができます。純金積立といった、毎月定額の金を積立購入していく商品もあるなど、充実しています。

取引にかかる別途手数料も、そんなに高くはなく、金貨などに関しても、海外のオンラインショップから個人輸入して購入するよりも、国内の正規販売店で買う方が、ずっと安価です。

それに対して、金よりもずっと単価の安い、純銀への投資やその売買市場はどうでしょう?

国内のオンラインの貴金属専門店のほんの一部を除き、日本では店を構えている貴金属店における純銀の扱いは、純金と較べると信じられないほど冷淡であることが、調べれば調べるほど、分かってきます。

このブログでも何度も触れていますが、貴金属国内最大手の田中貴金属は、金に一辺倒、といった感じです。田中は、銀の小売りは現在やっていませんし、買取にも非常に厳しい条件を付けていて、とにかく、「扱いたくない」というのが本音のようです。産業向けにはどうなのかは知りませんが。

他の大手地金商も、投資家向けの銀の売買には、非常に消極的です。別途手数料も高いです。地金商を経由した、純銀インゴットの売買市場は、ほとんど機能していない様子です。

この状況は、日本で特に顕著のように見受けられます。アメリカでは、アメリカ財務省造幣局が「イーグル銀貨」を毎年大量に発行し、世界中の人々がコインショップ等で買っています。流通量では世界一でしょう。その他、銀産出国を中心に、純銀製の銀貨は金貨と同じように鋳造され、世界中で流通しています。

銀相場がこなれていることもあり、銀貨や銀地金等の銀の現物を買い集める「シルバースタッキング」を熱心にやっている人は海外では多いし、増える一方のようです。

我々日本人は、このまま国内地金商の誘導めいたものに身を任せて、金貨や純金積立で金を買い進めていけばいいのでしょうか?それとも、海外の様子を見て、銀もあるいは銀主体の「シルバースタッキング」をやるのがいいのでしょうか?

自分は、「いずれは、日本でも銀が大々的に広範囲な場所で売買されざるを得なくなるだろう」と思っています。世界中の国々で人々は、その根底にある文明文化は様々ですが、金も銀も、「その希少性と普遍的な価値」を大人達誰もが認めています(それを忘れている人もいるでしょうが)。世界中で、金と銀は両方とも価格差はあれど、「実物資産価値を持っている」と思われていますから、今の日本のように、金だけが偏って珍重されて、銀が投資市場から事実上排除されている状態というのは、どこかで是正されざるを得ないと思います。

同重量で比較した、金と銀の現在の価格比(金銀比価)は、84:1程度。過去の金銀比価の平均が50:1あるいは15:1などと言われていましたから、銀が超割安な状態であることは間違いありません。

それでは、日本で「シルバースタッキング」は可能なのでしょうか?答えから言えば、現在でも可能です。国内ネットショップで銀貨がよく売れているお店もいくつかあります。価格的には、海外の地金・コインストアから個人輸入したほうが最終的にも(送料等を入れても)割安に入手できることも多いのですが、輸送のリスク等、不安材料も多いですから、少し割高であっても、国内ショップで同じものを調達する方が、今のご時世、安心かもしれません。

あとは、「どういった銀製品を買うと良いのか?」これは、入口戦略と出口戦略も両方含めての話です。銀地金に上乗せされる別途手数料(バーチャージあるいは加工賃)とか、あるいは銀貨に上乗せされるコインプレミアムのような、コストパフォーマンスを考える必要があることがまず一つ目です。貴金属は、自分で大きいサイズのものを割ったりして調整することはできませんから、インゴットであれば、バーチャージが割安になるからと言って、大きいサイズのものを集めるのは、あまり賢い選択とは思えません。

あと、出口戦略のことを重視するのであれば、今現在のところは、断然、銀貨を買い集める方が良いです。銀のインゴットは、日本のどこでも今は嫌われるでしょう。それに比べると、銀貨の買取を拒否する貴金属店は、私が実店舗で話を聞いてみた経験では、ほとんど無さそうです。

ただし、どの銀貨でも買取価格が同じかというと、実際はそうではないことにも注意を払わなければいけないのが現実です。これは、あくまで日本国内だけでの話かもしれません。銀貨には銀の純度がフォーナイン(99.99%の純銀製)のものと、スリーナイン(99.9%の純銀製)のものが存在します。ですが、これは純度が高いから高価買取になるわけではないので、99.9%以上の純度を持っていれば、買取の条件は十分満たしています。

本当の価格差の出てくる要素は、実際は「銘柄」だけです。ここに注意してください。もちろん、持ち込んだ買取店舗によって、買取価格は大きく異なります。オンライン+郵送の買取依頼をする場合であれば、どの銀貨も同価格で買い取ってくれるというお店もあります。最初からそれをあてにしているのでしたら、コインプレミアム(銀価格にどれだけ余分に価格が上乗せされているかの度合い)の低い、横並びさせてみて割安な銀貨を集める方が、コストパフォーマンスは良いはずです。

ただ、郵送での買取依頼は、いろいろ心配する点もありますから、できれば、自分の足で行動できる範囲内の実店舗で高値で買い取ってもらえる銀貨を見つけることができたら一番良いでしょう。金貨とは違って、国内の売買正価が広く知らされていないのが銀貨の世界ですから、少し骨の折れる作業が必要です。

私の経験で言うと、最も買取で評価を高く受けやすい傾向を感じたのは、やはり、米国の「イーグル銀貨」です。買取価格はお店によってどうしても大きく異なりますが、他の多くの地金型銀貨の中では高評価でしょう。ただ、問題は、「現在の販売価格が他の銀貨よりかなり高い」という弱点も抱えているところ。これは、海外のコインショップでも同じで、イーグル銀貨のコインプレミアムはかなり高めです。たとえ一度に、何百枚とか大量購入したとしても、薄められるレベルではありません。

では、それ以外の銀貨ならどうか?コスパを考えると、「ウィーンフィル銀貨」も有力視されます。ウィーンフィル銀貨はオーストリア造幣局発行です。コインプレミアムはイーグル銀貨より低く、地金価格により近いです。

「どんな海外製銀貨でも、買取価格に違いがない」ということであれば、オーストラリアのパース造幣局が鋳造している「カンガルー銀貨」が一番割安のはずです。質的には、フォーナイン(99.99%の純銀製)であり、単に市場での評価が一般的に低く置かれているに過ぎません。

「見た目の美しさもあったら」という要素を加味すれば、カナダ王立造幣局鋳造の「メイプルリーフ銀貨」も良い選択になるかもしれません。こちらもカンガルー銀貨同様、フォーナイン純銀製で、海外での取引価格や評価で言えば、先述の「ウィーンフィル銀貨」より一段上です。日本国内でも、銀貨によって買取価格に差のつく店であれば、カンガルー銀貨よりも買取価格は高いでしょうし、ウィーンフィル銀貨より高く買い取られる可能性もありそうです。

将来、銀価格自体が、今の不当(?)な相場価格を脱して、高騰するようになれば、「買取価格はどの銀貨もほぼ一緒」となる可能性がかなりありそうな気がしています。ここまで、各銀貨の現在の評価を述べてきましたが、あくまで「現在時点」での評価の差です。

海外の地金型銀貨は、偽造防止の意味も込められているのでしょうが、どれもデザインが凝っていて、いろいろと多種類の銀貨を少量で良いので集めてみられて、見比べてみるのも面白いかもしれません。

自分としては、先達に比してだいぶん後れを取ってしまった感はあるのですが、純金積立等の金投資もやりつつ、シルバースタッキングに注力し続けたいと思っています。

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