シルバーが入手困難?じゃあ、プラチナはどう?(2022.5.15)

経済・相場データ等

5月13日(金)のNY市場では、株価が堅調だったものの、当日終値でチャート週足では、S&P500指数が6週連続の陰線で引けた。「6週連続して陰線」というのは、S&P500が算出開始されて以来、そんなには無いことらしく、例えば、「7週連続陰線だった」というのは、過去90年間で3回しか無かったそうなのである(某氏より)。ただ、株式市場への資金流入は、高水準が目下継続中とのこと。

話を本題に徐々に近づけていこう。

このブログでは、株式市場については当面の間、詳しく採り上げて分析したりするつもりはない。今回は、主に、コモディディと債券市場を標本とした年初来の騰落率チャートを出してみた。見づらいのはご容赦いただきたい。

ローソク足になっているのが、円建て金価格。上の方で紫色をしてぐんぐん上昇しているのは、米国30年債利回りである。年初来プラス52%となっている(債券価格は下落)。原油は、ドル建てで頭打ちしているようだが、米国でトランプがガソリン価格の史上最高値がどうのこうの言っていたので、精製品の価格は上昇してきているのだろう。

残りの線は、ドル建てや円建ての貴金属価格である。原油価格や米国の金利の上昇に比べたら、穏やかなものに映る。円建て金価格でさえ、ロシアのウクライナ侵攻やインフレ騒動が起きて時間が経ったのに、12.7%しか上昇していない。かといって、「有事の・・・」とか言って騒ぎに慣れたら価格が元に戻った、というわけでもない。コモディディ価格が当面下げないことも見て取れる。

・・・しかし、ちょっと待ってください、と言いたげなアセットがある。シルバーがその代表だろう。ドル建てシルバーは、年初来でマイナス7.81%。円建てシルバーは年初からほとんど価格変わらず。

チャートを52週(1年)にすると、ドル建てシルバーの期間騰落率はマイナス22%、円建てシルバーもマイナス約8%と振るわない。

プラチナに関しても、52週チャートで観ると、シルバーと似たような騰落率を示している。2020年春のコロナショック時に安全圏であり続けたのがゴールドで、シルバーとプラチナは同じように暴落した。

ところが、その後一時はシルバーは急伸して、つい最近までゴールドの値動きとかなり相似していたのである。それなのに、先月後半からまた急に変調をきたし、現在のドル建てシルバー価格は、先述のコロナショック直前の水準にまで転げ落ちてしまった。

シルバーは、本当に報われない貴金属だなとしみじみ思う。「上がってきた!」「シルバー・スクィーズだ!」と思って、飛びつき買いしては裏切られるの繰り返しである。ゴールドに比してリサイクルコストが採算に合わず、未採掘量もゴールドよりも少ないとされている貴金属とは思えない。

プラチナも、これはこれで。「1,000ドルの壁」みたいなのがあって、価格が上がらない。シルバーとは逆に希少性が物凄く高く、マーケット規模が小さいところだけ同じで値動きが軽い割には、いろいろといちゃもんが付いて、ひと昔前はゴールドよりも高価だったのに、今はゴールドの半値が常態化。

こうして見ると、シルバーとプラチナは、ゴールドと並んで貴金属として大人の認知度は100%だろうに、現在置かれている状況がまるで違うことに改めてびっくりしてしまう。ゴールドの価格に比べれば、シルバーもプラチナも、正当な評価を受けていると言えるのだろうか?

まあ、例えば田中のウェブサイトを隅々まで読んでみると、プラチナは「未来の貴金属」「その希少性からも投資商品としての価値がある」といったことが以前から記述されていたのを覚えている。最近気づいた変化としては、プラチナ価格がゴールド価格を上回っていた時期ほどは、プラチナ推しでなくなってきた様子が、なんとなく特に最近感じられるところである。オーストリア造幣局発行「プラチナウィーンコインハーモニー」についても、以前ほどサイト上で目立たせていない。

数年前に実行された、田中における地金型コイン買取価格の設計変更が、金貨のみだったのも、不思議だった。金貨については「キズモノでも美品でも、おなじ買取価格ですよ」と変えたのに、プラチナ貨のほうは、「美品」と「キズモノ」に分けたままである。ゴールドよりも硬度の高そうな、傷も出にくそうなプラチナ貨に、2つの買取価格を用意し続ける理由は何なのか?

それと、田中のシルバーについての姿勢はどうか。これについてはあまり触れないこととするが、かなりの消極っぷりに見える。これは田中だけの話ではないが、銀地金のバーを投資家向けに小売りしているほかの国内地金商も、銀貨の販売はしていない。銀地金の売買手数料も、割高感があり、「銀の品薄が続いていて、工業向けに優先して回しているので」との理由で小売りの量は非常に絞られているが、自分は銀インゴットを買う気が全く起きない。ちなみに、田中は銀地金の現物小売販売は現在していない。

もう、日本国内の投資用貴金属小売業界は「ゴールド(金)一色」の様相を呈し、その度合いは、ますます強まるばかりである。米国では、「シルバー・スクィーズ運動」のような、なんとなく露出度の高いものも少し前から盛り上がっているが、米国人の歴史の長い「シルバー崇拝」は特殊だとしても、海外では、日本ほどには銀はぞんざいに扱われてはいない。

日本の国内金小売価格の長年にわたり培われてきた公正さとかは、誇っていいと思うのだが、それ以外の貴金属との扱いの差が、価格の差以上に拡大してきていると思うのは考えすぎであろうか?プラチナは、それでも何とか、田中のおかげなのか、日本人の元々の好みに合っているのか、海外よりも逆に珍重される傾向はあるように思う。けれども、産出量や埋蔵量が少ない希少性はあっても、貨幣として使われてきた歴史の無いことにしか、現在取引価格の低迷し続ける理由を求めることができない。

シルバー(銀)は、プラチナとは逆に、正真正銘の「貨幣になる資格のある貴金属」であると思う。「シルバーが足りない」とかの産業界の声もあるようだし、2年ほど前には、海外の造幣局でも銀貨の生産が需要に応えられず、一時製造中止に追い込まれたりもした。現在はそういうことのない造幣局がほとんどだが、産業用・投資用ともに需要過多の傾向が日を追うごとに強まっているのに、なぜいっこうに価格が上昇しないのか?なぜ日本でこれほどまでに軽んじられるのか?

銀相場のデタラメぶりについては、自分よりも多く語ってきた方々がおられることもあるし、またここで書くと、くどい感じなのでやめておく。まあ、現実に即した対応や、今後への期待を持つことも必要でしょう、くらいか。

最後に、投資用貴金属とか生活防衛策として総合して、今まで語ってきた三種類の貴金属について、考えてみると、三種類だけのことを検討するだけでも、頭がクラクラしてきそうである。

最近、なんとなく思うのは、「シルバーの価格上昇は、まだまだ時間がかかるかもしれない」ということ。あと、「ゴールドは、『猫も杓子も』状態なので、伸びしろは意外と小さいかもしれない」ということ。残るプラチナについては、「大化けもあり得るので、安いうちに仕入れておきたい」というところだろうか。

やはり、皆が注目するものは、それほど利益を生まないものが多い。ゴールドは、それでも押し出されて上がっているのだから、いかに不換紙幣がダメなのかが分かるというものである。シルバーは、現物の引き合いが非常に多いので、いずれは価格上昇が期待できそうに思う。逆に、ゴールドに対して割安度がより高まる機会が来たら、やっぱり買っておくべきではないだろうか。

プラチナは、単に「安いから」という理由で集めるのもアリだと思う。容易には朽ちない、カチコチ貴金属で、銀のように簡単に見た目が悪くなってしまうような弱点は聞いたことがない。まあ、カチコチ過ぎて、アクセサリに使用する際は、他の柔らかい貴金属との合金にしないと、プチッと切れてしまうそうだが。純プラチナインゴットの扱いは、純銀製品ほどの気遣いは要らないかもしれない。

結局、正解が分かれば世話はないわけで、何の結論も導き出せなかったと思うが、ゴールド一辺倒ではちょっと…、というのは今まで述べた話で読者にも伝わっていると思う。あと、株式や債券は今から始めても何の利点も見出せない気がするが、実物資産である貴金属は、まだこうして悩める時間が現時点では残されているし、調べれば調べるほど、自分にとって、面白いものなのである。

今のところは、「安いというのは、いいことだ」みたいなノリで、プラチナ&シルバーを推したい気分ではある。とはいえ自分は、ゴールドを全く否定していないので、「純金積立」をしているし、余裕があれば、ゴールドバーも買いたい。

自分としては、相場動向を特に注視する期間に入ったとしており、高インフレはまだまだ始まってばかりだということで、おカネからモノへの流れに乗る、あるいは生活防衛の視点も混ぜつつ、貴金属投資を楽しみながらやっていきたい。

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