大恐慌!…ちょっと先に延びたかも!?(2022.3.12)

外国為替

米国FRB(米国連邦準備制度)は、この3月に、0.25%の利上げをする見込みです。

亢進を続ける米国の物価上昇に対応すべく、金融引き締めに舵を切ると金融市場では見られてきました。そして、最終的には、FRBの過去最大規模に膨れ上がっているバランスシートを縮小して、保有する米国債や不動産担保証券をはじめとする債券類を放出して市場からドル札を回収するだろう、というのが今までの大方の見方です。

ところが、その方向性が、少し変わりつつあります。そうです、例の戦争の件です。米国は、正規軍を一兵も現地に送っていませんが、攻め入られた側の政府に今後、資金面でバックアップをしていくことが明らかとなりました。そのための国家予算が組まれるのです。またまた、米国は国債を発行して、戦費を調達し、それと引き換えにドル札が印刷される結果となります。

バイデン大統領は「インフレと闘う用意がある」と3月1日の一般教書演説で述べたとされていますが、実際に発表しているのは、債務増大(すなわち、ドル札の大増刷)に繋がる、予算規模の拡大でした。つまり、FRBも、3月にFFレートの0.25%程度の引き上げは行うだろうが、今のインフレ率に見合うような、年に何回にもわたる利上げを今年だけでなく来年も続けていくような措置は、もう念頭にないのではないか?と思われるのです。

昨年12月に、それまで頑として「インフレは一時的なものだ(いずれ収まる)」としていたFRBが、インフレへの見方を誤認していたことを認めて、利上げ&バランスシートの縮小を見通しとして声明に入れたのも束の間、今月も先日になり、また「高インフレは一時的な出来事で済む」ような発言をし始めたようです。あの戦争と連動するかたちで、米国政府は債務を増やし、FRBはそれを受けてドル札を増刷することを続ける意向があることが、明らかになったと考えられます。

では、今後、株式市場が「利上げは小幅で打ち止めとなった」という全体認識を持ったとして、米国株全体が、また上昇モードに転換して、騰がっていくのでしょうか?あるいは、日本株はどうでしょうか?

株式市場を考える前に、ドル札がさらに市場に溢れることで、ドル札の価値は下がり、インフレは高インフレがさらに助長されることの方を、まず心配するべきと考えます。そうなれば、今はドル全面高の様相を呈していますが、次第に各国通貨に対し、別の動きを見せるのではないか、とも推察されるでしょう。攻め入った側の国への強力な経済制裁により、欧州株式が敬遠されて、今月は既に欧州株式市場から超絶の資金流出が発生しており、EU通貨ユーロも大きく売られました。

欧州大陸の主要株式指数のユーロ・ストックス50は、年初来で一時、20%以上下落した。現在でも、米国・日本・欧州大陸では、欧州大陸株のパフォーマンスが最も悪くなっている。
ユーロ/米ドルは年初から直近まで約3.4%値下がりし、ユーロ/円も1.8%程度円高になった。

為替レートは、一般に通貨のペアの両国の「金利差」と「今後の両国の金利の方向の見通し」を織り込んで変動します。その前提で行きますと、「米国は今後金利を上げ続け、一方で日本と欧州は緩和的で、実質的な金融引き締めは、米国より遅れるだろう」ということで、今世間を賑わせている、「円安だ、輸入物価上昇だ、大変だぁ」と言う話が出ています。

ただ、もしも、米国政府が財政支出を増やす一方で、日本が米国に盲従するかたちでの例の戦争への戦費拠出のような余計な財政支出もほとんど行わず、積極的な財政出動もしない路線を堅持するのならば、それこそ、米ドル/日本円レートはいつかは今進んでいる円安の流れが自然に止まり、日本が追従して金融を引き締めるような、日本国民が歓迎しない金融政策は行われずに済むかもしれません。

ただし、インフレーションはここ数十年見られていなかったほど急ピッチで今後進んでいくはずです。円安を止める目的での金融引き締め論は盛り上がらなくても、インフレ退治を目的とした金融引き締めを求める「識者」の理屈が出回ると、景気悪化が深刻になる危険性はあるかもしれません。

主要各国の通貨当局のバランスシートの「バランス」が、米国だけ肥大化が飛びぬけて進む可能性もあるので、それだけで、商品市況の高騰、世界的なインフレの亢進となってしまいます。と同時に、商品市況はどの国にも資源価格の高騰となって現出しますが、財政支出を一番積極的に行うのが米国であれば、結局は、世界の基軸通貨である米ドルの更なる価値下落につながります。

それらの行き着く先が、米国経済の大不況や、リーマンショックとはまた違った金融恐慌のかたちで現れるかもしれません。そのくらいで留まるのであれば、ましな方ではないか、とも思います。

日本国民で一庶民の立場で考えれば、未曽有の事態になるとはいえ、金融恐慌に留まるのであれば、「何とか先進国の立場を維持したまま、日本は存続できるんじゃないか」と考えます。ただし、最近自分が「生活防衛」というのをしきりと言っていますけれど、それに今日書いてきた内容を重ね合わせてみますと、「米国と適度に距離を置く」ということが必要になりそうです。国レベル同士の話ではなく、自分の財産との絡みで、です。例えば、皆さんは、自分の資産を以下に挙げるようなところに関係させてはいないでしょうか?

  • JAバンクやゆうちょ銀行のような、米国の危険な金融商品を大量に保有している金融機関に預金の多くを預けている。
  • 掛け捨てでない、返戻金のある生命保険、あるいは貯蓄的性格をもつ保険商品を買っている。
  • 確定拠出年金(iDeCo・企業型どちらでも)で米国の株や債券に投資する投資信託を買っている。
  • 米国株や米国債券(インデックスファンド・ETFも含む)に資産の多くを投資している。
  • 米ドルに外貨預金等を資産運用の目的で大量に保有している。

あくまで、私の個人的な見解に基づいて言いますが、上記のようなことに心当たりのある方は、将来のことを考えて、危険性の高いところにお金を預けている、あるいは危険性の高いものを持っているという意識を持っても良いんではないかと思います。

これまでの常識がひっくり返る可能性もある、何でもありの世の中になろうとしている兆候が、ポツポツと散見されてきている状況が実際に今、あります。その渦に余計に巻きこまれないよう、今は昔から言い古されている「資産は可能な範囲で分散させる」くらいの対策は、取っておいて損はないのではないかと思います。

「何であれば絶対に大丈夫」とか断言できるものは何もない状況だという認識がまず前提としてあって、「それであれば、過去数十年の常識とは違っていても良いので、頭をこねくり回して、『分散』を考え直して実行してみよう」という、ある種冒険じみたことをやってみないといけない時に今、居合わせているのかもしれない、と思います。

財産の価値保存・運用について正答やより有利になりそうな方法を見つけるには、多少の調べ物をする時間が必要かもしれません。金融機関の窓口の人は絶対に正答は教えてくれないでしょう。あちらも商売ですから。その代わり、ネットの発達が我々の視野を大きく広げてくれることに貢献してくれています。ただ、一つの意見に(私の意見もその一つです)偏ってしまって、大切なご自身の財産まで一つのものに偏らせてしまうと、危険な時代なんだということを、皆さんと共有したかったので、今回の記事をまとめてみた次第です。

僕もたゆまぬ学びを続けて、「生活防衛」をして、この乱世を生き抜いていきたいと思います。

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